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今日のehon:世界樹の種をまこう/Let’s sow a seed of the tree of life.

世界樹の種をまこうoooo_900

世界樹の種をまこう
けさ、できあがったばかりの地面に
新しい世界が
そこからめばえてくるように

世界樹の種をまこう
新しい朝……
すぎさった夢の中で
世界樹の種をまこう

こんどはもっと
ちゃんとした世界が
うまれてきますように……

気象庁やさぐれ予報官M氏の手記より


Let’s sow a seed of the tree of life
on the earth which just was completed this morning,
so that the new world sprouts from here.

Let’s sow a seed of the tree of life
in the new morning,
at a dream of past,
let’s sow a seed of the tree of life.

This time,
more the appropriate world
be born……

Than the note of the eccentric Meteorological Agency weatherman



やさぐれ予報官シリーズの第2弾。M氏と、なにやらわからない青年?が、神社の境内のようなところで、世界樹の種を播いています……文言の内容と絵のあまりのギャップに、私自身、これでいいのかなあ……と思うのですが、たぶんこれでいいのでしょう。

世界樹は、宇宙樹とか生命の樹とかイグドラシルとかいわれますが、要するに天と地をつなぐ役割をはたしているらしい……ヨーロッパの五月祭で立てられるメイポールなんかもこの系統だと思います。それにしても、このやさぐれた方々が種を播く世界樹って……

しかし、「あまりにも健全な」人が播く世界樹よりは、なんか安心できる気がします。どっからみても非のうちどころがない、100%完全な人が播いた種から生長する世界樹……考えただけでも窮屈で、息がつまりそうになる。人間、テキトーにやさぐれてた方が……

いいのか悪いのか。よくわかりませんが、新しい世界に期待したいです。

今日のehon:やさぐれ気象庁予報官M氏の生涯

やさぐれ予報官_600
こんな気象庁予報官がいたら、コワいと思います。彼は、富士山噴火を予報して、当てたので、今、噴火の実況中継をやってるところです。新幹線も東名高速も溶岩流に埋没して、日本列島は東西に分断……しかし、彼は平然と、唇には笑みすらうかべて、その様子を中継しています。

ネックにはなぜかタコのペンダント。目深にかぶったソフトを少し上げる右手の指にはマゼンダのマニキュアが……オソロシイ……服は、ドテラなのか趣味のワルいガウンなのかわかりませんが、素肌に直接はおっているようです。やさぐれだ……やさぐれって、家出のことらしいですが……

このMさん、住む家もなくさまよっておられるのでせうか……しかし、富士山噴火を当てたということは、かなりの実力の持ち主にはちがいありません。いったいいかなる経過で、こんなやさぐれの境涯になってしまわれたのか……それは、この本を読めばわかる!そう、これは……

本の宣伝なのでした。この、平然と実況を続けるM氏の姿から、私は、とてもオソロシイことを想像してしまった……もしかしたら、この噴火をもたらした張本人だったのではなかろうか……そんな「超能力」が一人の人物に備わっているとはとてもかんがえられませんが……

読めばわかる!そう、この本には、すべてが書かれているのです……映画化間近。
(ちなみにタコのペンダントはマイクになっていて、彼の声をひろっているようです)

今日のehon:星々の出会い/Encounter of stars

星々の出会い_600
ヨオロッパの少年が
名古屋のおぢさんに
会ふ。
やっとかめだなも。

おぢさん
いちご大福って
あまずっぱいね
しあはせの
味だよね。

そーだなも。

二人は、みちすがら
タテのものをヨコにし
減反政策を語りつつ
星々のかなたへと
消えていった……。

二人の行くえは、ダレもしらない。

A European boy meets an uncle of Nagoya.
“Yatto-ka-me-da-na-mo”(Long time no see.)

Uncle,
strawberry Daifuku is sweet-sour.
It’s just taste of happiness.

Yes, I think so.

Two people disappeared to the emptiness of stars while arguing an acreage-reduction policy, fixing vertical things to the horizontal along the way.

Nobody knows where they went.

これは、以前に掲載した「ヨーロッパの青年が……」の、少年バージョンです。
私は、昨日、あるところで、生まれてはじめて「いちご大福」というものを食べたのですが……なんというか、ちょっと衝撃を受けました。

大粒のいちごが……それが、まるごと、大福の白くて甘い皮にくるまれていて、その「皮」の厚みもハンパないので、外観は、もう、よくわからないなにか白い大きなカタマリになってます……

で、かぶりつくと中からまるっといちごが……こういうもんを、いったいダレが考えたんだろうか……減反政策で余った農地を活用する……ということで、いちごのビニールハウスをつくり続けた結果、日本中にいちごが余って、それを活用するために、大福に入れるということを発想したのでしょうか??

いちごは、水平に成る果物ですが、もともとはタテに成っていたのか……いや、いちごは草本なので、もともと水平に成っているのでしょう。としたら、ある程度の高さまで、添え木とかで垂直に成らせる工夫をすれば、土地の活用にもなるし、収穫もラクチンなのでは……

いやいや、これ以上いちごの収穫量が多くなると、世の中いちご大福だらけになるから、やっぱり今ぐらいがちょうどいいのでは……
最近、「妖怪いちご大福」というのがあるそうですが……
(検索するといっぱい出てくる)

訂正です:絵本展の終了時間

一つ前の記事で、絵本展の終了時間をまちがえて記載しました。
今は正しく訂正していますが、念のため……

時  間:午前11時30分 ~ 午後6時30分 は まちがい

時  間:午前11時30分 ~ 午後4時30分 が 正解です

画像でのせているチラシの時刻の方が正解ということで……失礼しました。
もし、見てみようという方は、おまちがえのなきよう……

今日のehon:にゅうにゅうを見た話

ヘビメタにゅうにゅう_930

ある人たちは、山で、にゅうにゅうという、権威者のような動物の姿を見かけたことがあるという。

この動物は、風のつよいある日、黄金色(こがねいろ)の雲が山の峰を吹きわたり、木々のこずえが赤銅色に輝くある日、そして、お日さまと、沈む青空と、吹きわたる雲が激流のようにあたりをうめつくすある日に、現われることがあるという。

にゅうにゅうは、とても大きく、あるときには、山そのもののように見えたという。

吹きわたる風に、全身をとりまくダイヤのような毛なみが流れて、それは、風そのもののようにも見えたという。

目の光は、強く、またやさしく、なにかを静かに考えているようにも、また、永遠の星の輝きはじめる瞬間のようにも見えたという。

口はしっかり閉じ、耳は風と身体の線にそって流れ、顔は膨大な流れとなっていつのまにか見あげるような身体となり、峰をわたり、うねり、またいつのまにか、夜の闇に消えていた。

その声は、吹きすさぶ風に消えるようでもあり、また、無限の沈黙に、深い深い響きをともなって共鳴しているようでもあり、また、山そのものが鳴っているような、山のすべての生き物に呼びかけるような……。

にゅうにゅうを見た人は、奥深い森、圧倒的な山の存在、そして風とともに、暮れゆく空とともに、なにかを考え、考えが風に流されて森にしみわたり、木々に吸いこまれ、またはき出されて、すべてがひとつの流れであることを感じたという。

にゅうにゅうを見た人は、心が厳粛になって、なにかしら考え深げな人になったという。

にゅうにゅうがいることを知る人は少ない。でもそれは、いつも山とともに、森とともにいて、ある特別な日に、また、権威者のようなその姿を現わすのかもしれない。

………………………………………………………………

*このお話は、かなり前に見た夢の中にでてきた絵本を再現してみたものです。

夢の中で、私は、どこかの旅館に泊まっていたのですが、そこで、ある人(旅館の人か宿泊客かは忘れました)から、一冊の絵本を渡されました。

その絵本を開いてみると……絵が流れ、動きます。
さまざまな色の光の点で描かれた絵の全体が、ざーっと流れ、渦を巻き、輝き……その印象は、とても美しく、そして静謐……ふしぎな感動を覚えました。

あの「流れる光の点でできた絵」はとても再現できませんが……ストーリーの方を、覚えているかぎりで書いてみました。

あの、ふしぎな、そして静かな絵本は、どこにあるのでしょう……きっと、どこかにあるという気がするのですが……

今日のehon:Untergang

untergang_600v

階段を、下ってゆく
光源のない水色の光に満ちた階段を
どこまでも・どこまでも
いつまでも・いつまでも
下ってゆく

なんの音もしない
なんの臭いもない
水色の光に満ちた階段を
ただ
無限に
下ってゆく

時々、踊り場に
ガラスのドアが現われる
ドアの向こうは
デパートの売場のように
明るい光に照らされ
さまざまなものにあふれた
空間

そこを、人々が
たくさんの人々が
楽しそうに
行き交っている

だけど
このドアを開けてはいけない
心の中の声なき声
その声に従って
ただ
ひたすら階段を
下ってゆく

I descend the stairs filled with pale blue light with no source of light.
Forever to anywhere, Forever until when, I’m descending.

I hear no sound, I smell nothing.
I descend the stairs filled with pale blue light, endlessly.

A door of the glass sometimes appears in the landing.
There is space lighted up brightly like the sales floor of the department store in the other side of the door.

Various things overflow there.
Various people come and go there, and they all look like happy.

However, you must not open this door.
A voice in my mind says so with no sound.
I descend again the stairs according to that.

最近はあんまり見なくなりましたが……無限階段を無限に降りていく夢。昔はよく見ました。一段一段歩いて降りていくのもありましたが、多くの場合、スーと、魂だけになったように階段空間を等速度で滑り降りていく……まるでエレベータのように一定の速度で止まることもなく、ただひたすら無限に降りていきます。空間にはふしぎな水色の光が満ちているのですが、その光がどこからくるのかわからない。明るくもないが、暗くもない、空間がまんべんなく燐光を発しているような……そんな中を、ただただ、降りていきます……

心はあせって、なんとか止まって、のぼらなきゃならない……いや、そもそもこのおかしな空間から脱出しなきゃならない……と思うんですが、身体はまったくいうことをきかず、ひたすら降りていく……いや、身体というものがあるのかどうかもわかりません……そして、心のどこかで、この空間から出ることも、降りるのをやめることもできないんだということを知っている。しかし、やはり心はあせり、なんとかしてここから出なくてはならないと思う……この状態が、かなり長く続きます。

で、あるとき、はっと気がつくと、地上に出ています。そこで夢から覚めることもあれば……それはまだ夢の中で、お伊勢さんの森の前だったりする。どうして出られたのかわかりませんが、ああ、ようやくあの空間から解放されたとほっとする。あの空間は、やっぱり私の心の中にあったのかもしれません。そしてやはり、「無限に降りていく」ということが必要だったんだと思う。なにも得るものもなく、達成されるものもないわけですが……それでも、なぜか、「降りていく」ことは要る。どこまでもどこまでも降りることが……

時として、降りている途中に、踊り場の片側がガラス戸になっていることがある。ガラス戸の向こうには、光に照らされたにぎやかな光景……いろんな品物が並べられ、大勢の人が楽しそうに行き交う、まるでデパートの売場のような……そんな景色が、夢の中の夢のようにガラス戸の向こうにある……この戸をおせば、そこに入れる……しかし、なぜか、絶対に入ってはいけない……そういう声がきこえる。心の中に。私の心は、その声を聴き、強力な吸引力にうち勝って、さらに降りていく旅を続ける……

もし、誘惑に負けてあの空間に入っていたらどうなっていたんだろう……それは、もしかしたらさらなる夢幻の世界にさまよい、もう二度と出てこられなくなったかもしれない。わかりませんが……降りるときは降りる。それが、正解。

untergang_kaisetu

今日の ehon:ヌメノンあるいは物自体/Noumenon or Ding an sich (Thing in itself)

ヌメノンあるいはモノ自体

ヌメノン……物自体……と言われても、なんのことかわかりませんが、わからんままに、感覚的に描いてみました。これは、カント哲学でキーになる言葉の一つなんだそうですが……ようするに、花は赤いと。じゃあ、その赤い花から「赤い」という属性を取り除いていったらなにが残るか……と。

ガラスのコップは丸くて透明……では、「丸い」と「透明」を除いたらなにになるか……と。要するに、「モノ」から、感覚でとらえられる属性をどんどんはぎとっていって、最後に残るのが「物自体」。「物自体」は、感覚的な属性にジャマされて認識できない……なにかわからん不気味なモノ……

なんですが、もう一つの言い方である「ヌメノン」の方は、今度は「理性」、すなわち「ヌース」に関連する。要するに、「理性でとらえられるもの」ということで、これは、「物自体」という言葉から感じられる、わけのわからん不気味さとは正反対に思える……真逆の一致という現象。

ということで、ますますなにがなんだかわからんのですが、なぜか惹かれます……物自体。現象の背後にあって、現象を成立させる基盤……だから、これは、本質、本体、サブスタンスということでもある。そういうことなら、「理性」と一致しても別にふしぎでもないなあ……

ということで、私のイメージする「ヌメノン」は、こんなかんじになってしまいました。まあ「ヌメノン」という言葉自体、なにか、ぬめぬめしたぬらりひょん的なものを感じますが……これ、平面的に見えますが、実際はカッターナイフで紙をさんざん削ったりしてます。ちょっと破壊的。

ギーガーさんの絵が、ネガティヴに徹しようとしてるのにいつのまにかポジティヴになってしまってるように、「物自体」というマテリアルの極地が、いつのまにか「理性」というスピリチュアルの権化に転化されてしまっている……「物自体」は、カント哲学の「悪妻」ともいわれてるそうで……

まあ、ようするに、「それさへなければ……」という盲腸みたいな扱われかたなんですかね……ギーガーさんは、「それさへなければ……」といって棄てられてしまうものに固着しましたが、カントさんの場合は、闇の極地がつるんと皮がむけて光そのものになってしまうような印象……

カントのボタン

今日の ehon:日々是好日/Everyday I’m Happy.

日々コレ好日600

都会の片隅に流れ流れて、酒瓶のかたわらにうずくまる男。彼の故郷ははるか山の中だった。人は、この地に生まれて、流れる。植物のように根っこで土につながれていないから……足があるので、歩いて、地を離れる。この地以外の地は、いるべき地ではないのかもしれない。

しかし、彼の中には、故郷の地の力が流れている。大都会の片隅で、名もない(実はある)人型の動物として生を送りながらも、彼の中に流れるマナ、地の力は、今なお彼に届き、その心を不安で満たす。ここは、自分がいるべきところではないのではないだろうか……どこかに、もっとまともな生があるはず……

こういうふうにして、彼は死ぬ。身体は分解され、彼に宿っていたマナも徐々に衰退する。しかし、それは完全にはなくならない。細切れとなって、歴史の中をさまよい、いろいろなところに痕跡を残していく……このようにして、地のマナは拡散され、混りあう。人の歴史はこうしてつくられる。

そういう意味では……キーパーソン的な人物の目立つ歴史の歩みを実質的に支えているものは、こういった「地のマナ」の拡散と混交の歴史なのかもしれない。それは膨大な糸の絡み合いとなって、今現在に至る。そしてこれからも……多くの人々が、他人のように行き交う街……その中に……

電柱広告の「井戸時計店」は、筒井康隆のSF小説に登場した時計店の名前だけれど、実際に、名古屋市千種区に、まさにこの名の店があった。私は、そこで、懐中時計の電池を交換してもらった。800円だったと思う……今でもあるのかな? バーの名になってる「再会」は水木しげるのマンガに出てくる喫茶店の名前です。

今日の ehon:星の運命/Destiny of a Star

星の運命600

愛知県の名鉄電車では、車掌さんが乗客の一人一人に、お茶を出してくれる。

みなさま、おつかれさまでございます。
粗茶でございます。
ゆうるりとおすごしくださいませ。

出された茶碗の中には、沈みゆく太陽が宿っていた……

At the Meitetsu train of Aichi, a conductor gives the each passenger a cup of tea.

Thank you for using our train.
There is some tea for you.
Please enjoy your time at our car.

I saw the inside of the cup, there was a sinking sun.

今日の ehon:夢見るモナド~童太の初夢

夢見るモナド900_C

モナド3兄弟の末っ子、童太の初夢。おすもうさん。初場所がはじまるなあ……あったかいおでん。カギ、なくしちゃダメよ……なぜか幽霊に蚊取り線香。夏じゃないぞ……と、茶碗が見える……ありゃ、長次郎か……熱燗一杯もいいねっと……なんで磁石が出てくるの??NとS

おせちのかまぼこ。京人参。新しい靴をはいておでかけかな? あっ、腕時計、なくさないようにね。午年なのになぜか巳さん……車はシビック。真っ赤だよ。温泉入ってアメたべて、七億円のアタリクジかと思ったらなんと10円(意味不明)……ピアノを弾いてみよう。駐車場に出るであろう……そこには大東京火災の看板が……

イカにメガネは似合わない……なぜか、陶器製のパンツの中に……クギヌキ、ボルトにゼムクリップ。なにかわからない液体の入ったボトル。なにかわからない毛の生えた黒いカタマリを持つ右手……ハンドドリルと物差し。パンと水準器。水道蛇口の向こうはなぜか団子になってるみたい……

破れ提灯でまた夏だ……怪人のようなタコに途方にくれて立ちつくす中年男。えびふりゃあ。センヌキ。虫メガネの向こうにはクフ王のピラミッド。ソーセージが人のタコの手にかかり、ゼロ戦が飛んでくる……地球。そして地図記号はお寺と神社だ。真っ白な便器と洗いたてのシャツ。栗とオムライヌ……

ハサミにコイルスプリング。瓦。三角定規のセットにコンパスはくるりと輪を描く。タマゴと天体望遠鏡……糸の切れた風船と瓶入りのミルク。クロールで泳ぐ女の子の向こうには雪の結晶が……外は寒そうだけど、うちの中はぬくぬく……さあ、今日はなにをして遊ぼうかな?