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19世紀の終了/The end of the 19th century

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トランプくん、ついに大統領に……
これで、長かった19世紀もついに終了……
J.S.バッハの死の年、つまり1750年から、なんと266年続いた。
ナンマンダブ……

私は、「拡大版19世紀」という妄想?を持っていて、19世紀というのは、実は百年ではなく、数字の19世紀(1801年~1900年)をはさんで前後に伸びているのではないか……と、そう思っていました。(リンク)

じゃあ、拡大版19世紀のはじまりは?というと、これは、J.S.バッハの亡くなった年、つまり1750年に置くことができる。これは、私のなかではなぜかすんなりと、疑いの余地のないスタート地点として、ずっとありました。

しかし……19世紀の終わりは?というと、これが見えない。第二次大戦の終了した1945年かな?と思ったこともありましたが、でも、戦後の人々の暮らしは、やっぱり戦前の暮らしを継承しているように思える。「暮らし」という観点からすると、ホントに世の中が大きく変わったのは、高度経済成長が終息を見せはじめる1970年くらいじゃないか……

しかし、このピリオドも、やっぱり完全に正確とはいえない気がした。はじまりのJ.S.バッハの死の年、1750年にくらべると全然ボケてる。「21世紀」に入っても、なんとなく19世紀がまだ延々と続いている……そんな感じがしていました。

しかし、昨日、トランプくんが大統領になった!その報道をきいて、「ああ、これで、あの長かった19世紀が、ようやく終わった!」と、そう感じました。

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これからは、「素の時代」、「ホンネの時代」になるんだと思います。

彼の勝利のかげに、「隠れトランプ」なる人々がいた……そういうことも言われていますが、「オレはトランプに入れるぜ!」というのが恥ずかしい。インテリがそうだったと言われますが……自分の素の部分、ホンネではトランプ氏の言ってることにおおいに共感しながら……でも、やっぱりそれを口に出していうことはできない……なぜなら、それは「理性」に反するから。

人種差別、イスラム排斥、女性蔑視、マイノリティ抑圧、保護主義……「白」のオレたちだけが良ければそれでいい、違うヤツらは出ていけ!……こういう考え方は、たしかに「ヒュマ二ティ」には大いに反します。アメリカには、「ポリティカル・コレクト」という言葉があると聞きましたが……これはつまり、「人種差別? そんなのフツーにダメじゃん」とか「女性蔑視? アンタいつの時代の人?」とか、そういう「政治的には当然正しい」という考え方をさすらしい……

そこらへんの「低賃金労働者」ならトランプ的な「アホな考え」もしかたないけれど、あんたは立派なインテリでしょ? インテリがそんな考えでいいの?……ということで、「トランプ支持」をなかなか人前で言い出せないインテリ……そういう人が、今回の「大崩壊」のきっかけになった?……

あるいはそうかもしれません。しかし、私は、今回の「番狂わせ」は、今、世界で起こっている一つの大きな流れの一環……それも、もっとも目立つ形で突出した巨大な波ではないか……と、そう感じます。

イスラム国、テロ、各国が保護主義になって時代錯誤のヘンな右翼が台頭……だれもが自分のことしか考えられなくなって、「社会が悪いのは、オレの暮らしがいかんのは、アイツのせいだ! アイツらが悪い!」と叫びだすこの社会……もう、理想も理性もどっかにふっとんで、みんなが自分やまわりのことしか考えず、ああ、人類って、こんなにナサケナイ種だったのか……と思わず嘆息……

しかし……よくよく考えてみれば、その「理想」や「理性」が、それほどに完璧なものだったのか……人類のいろんな考えやものの感じ方を、無条件に突破して「上位」に置かれるほどにすばらしいものだったのか……かなり厳しい言い方になりますが、その「メッキ」がどんどん剥がれつつある……そんな時代に入っているなあ……と、そう感じます。

そして……考えてみれば、そういう「理想」や「理性」が、「絶対のもの」として確立されてきたのが19世紀……その「準備」と「残響」の時代を合わせて、1750年から今年、2016年まで266年間も続いた「19世紀」だったのでした。

この「拡大版19世紀」のあいだに、人類の科学技術は信じられないほどの「進歩」をとげましたが、それを支え、またその果実によって形成されてきたのが、「19世紀思想」だったと思います。万博やオリンピックもぜんぶここに入る……

この長い「19世紀」の間に、人類は、現在「ポリティカル・コレクト」として形成されているさまざまな「理性的考え方」を築きあげてきたのだと思います。たくさんの人々の悲惨な苦しみを代償として……だから、そういう「理性による支配」は、もうすでに盤石なものと思われていた。

しかし……人間の心の根っこに根ざすものというのは、そう簡単に、理性ごときにやられて根だやしにされてしまうものではなかったのですね……やっぱり、その傾向が顕著になってきたのは、最近、とくに21世紀に入ってからではなかったか……あの、9.11がツインタワーの崩壊により印象的に世界の人々に見せつけた「アンチ理性」の反乱……それは、世界中で同時に噴き出し……ついに、今年、「トランプ大統領」として結集した。

「理性?ポリティカルコレクト?なにをキレイゴトばかり言っとるんじゃ。そんな絵に描いた餅より、もっとだいじなのは、オレの生活が良くなることじゃ!」と叫ぶ人々が世界中に……

インテリは、「お前たち、自分のことばっかり考えてて、恥ずかしくないのか!もっと世界全体、人類全体のことを考えないと……ナサケナイやつらじゃのう」と言いますが……そして、21世紀を迎えるまでは、けっこうそういう考えも通用してきたように思いますが……もう、ここに至るとダメですね。で、「理性の大崩壊」が起こって、とうとう「トランプ大統領」……

長い19世紀の間に、人類がおびただしい犠牲を払ってつくりあげてきた「理性の殿堂」……それが、あっけなく崩壊した。もう世界中、人々はみな「自分のこと」しか考えられなくなっている。インテリにとっては、これは「世界の崩壊」であり「人類の終末」と映るかもしれませんが、それは、ホントにそうなんだろうか……

私は、もしかしたら、もうちょっと違う傾向なんじゃないか……と思います。今まで「理性」でムリヤリ抑えられてきた人々の「ホンネ」がついに噴出……第一次、第二次大戦の「クスリ」がもう切れかかって、戦争を知らない世代が人口の大部分となった今、「苦しみの実感」ははるか遠くに流れ去り……

ということで、これからは、「理性というタテマエ」が外れた「ホンネの時代」に入るんじゃないかと思います。人々の「素の心」はいったいなにを求めるのか……それはまた、今まで血と汗と涙で築いてきた「理性」に対する批判にもなると思う。人類が、266年という長い「19世紀」の間に苦労して造りあげてきた「理性」。その正体が、これから明らかにされます。そして、これからはじまる「大洪水」のあとにはどんな世界が来るのだろうか……たぶん私は死んでますが、もしかしたら生まれ変わって、その「新しい世界」にいるのかもしれない……ナンマンダブ。

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オマケその1.19世紀のつめあわせ。理性、理想、理念、民主主義、オリンピック、万博、原子力、宇宙開発、EU、TPP、ポリティカル・コレクト、グローバリズム……いろいろ入ってます。でも……袋に書いてある「賞味期限」、よく見ると、なんと「2016年11月8日」でした。

まあ、「賞味期限」であって、「消費期限」じゃないから……ということで、まだ食べられるんじゃ……という意見もあるのかもしれませんが、衰退していくもの、消えゆくものをいつまでも追っかけるのもムナシイことかもしれません。いずれにせよトランプさん、「パンドラの箱をあけた男」になってしまいました。底に「希望」が入っていればいいのだけど……

オマケその2.12日のNHKの番組で、日本文学を研究されているロバート・キャンベルさんが、今回の「トランプ現象」について、おもしろいことを言っておられました。正確に再現はできないのですが……今回のことで、「これまで、地球温暖化の会議なんかを普遍的に支えてきた考え方が崩壊しはじめたというのがいちばんの問題」みたいなことを言っておられた。

ハッとしました。やっぱり、文学系の人って、見方が深い。今回の「現象」を、単に「分断」とかの表層的な観点からとらえるのではなく、これは、もしかしたら「普遍の崩壊のはじまり」ではないか……と、そんなふうにとらえておられるように思えた。

考えてみれば「普遍」というのも、元々からそこにあるものではなく、それはもしかしたら、人類が、長い歴史のあいだに「つくりあげた」ものなのかもしれない。元々そこにあるものを見出すのは「発見」ですが、新しくつくりあげるのは「発明」……

はたして、「普遍」は「発見」なのか「発明」なのか……もし、それが「発見」であるとしたら、今回一度失われても、それはなくなったワケではなく、底流にきちんと存在していて、将来またそれを「発見」することは可能です。しかし、もしそれが「発明」だったとしたら……一度失われたものは、もう二度ととりもどせないかもしれない……

そうすると、人類の歴史というものは、塗炭の苦しみのなかで、莫大な犠牲を払って、ようやく「普遍」を「発明」したのだけれど……それが、今現在、つまり「2016年11月8日」をピークとして衰退し、失われてしまう……ということは、「人類の歴史のピーク」もまたここにあったのか……

どうなんでしょうか……

オマケその3.アメリカ大統領選挙だけは、全人類が投票できるようにしてほしい。

外国人お断り……レッズサポーターの根のカルマ/JAPANESE ONLY……The Root of Karma

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オソロシイ……外国人締出し……で、あの不気味な無観客試合……ホントにオソロシイことだと思います。だけど、カンタンには反省してほしくない(というか、100%しないだろうけど)……悪は、どこまでも、徹底的に悪であってほしい。懐柔されない悪……それは、ある意味、正直だと思います。

太平洋戦争のときもさんざんやりました。大東亜共栄圏って……ホントにそれが正しいと思ってるのなら、敗戦もゲンバクもなんのその、今でも言い続けるがいい……それができないんだったら、あのときも言わなきゃいい。そう、思います。コロコロ変節するのがいちばん良くない。しかも状況しだいで……

この問題、結局、「カルマの根」あるいは「根のカルマ」にかかわると思う。「カルマ」というと宗教的ですが、他にいい言い方がみつかりません。まあ、彼ら自身、「聖地」という言葉を使ってるんだから、もともとこの事件は宗教的……宗教のオソロシさと根本的に通じるところがある。一方向のみを見て、ダーッといく……

エルサレム奪還の十字軍みたいですね。自分たちとちょっとでも違うものは根絶せよ……ということで、ナチス的でもある。これ、宗教……というか、人の心の暗黒面だ……要するに、業、宿業……なにがどーやってもそーなってしまう……本人にも、もうどうしようもないゴリゴリに固着した傾向性……これは、どっからくるんだろう。

昔、朝日新聞を襲撃して、記者を射殺した右翼さんがいました。「話せばわかる」。この言葉の空しいこと……彼にとっては「銃弾」が唯一の「モノを言う言葉」だった。社説なんかで、最後に「ともかくみなでよく議論することが大切」……そんな書き方が多いけど、これってナンセンス。そらぞらしい……ウソくさい……

「普遍」は、なにも言葉や論理の側にだけあるのではないと思います。今回の「外国人お断り」事件でも、やった人は、なに言われても絶対に納得せんでしょう。というのは、彼の心の奥底に、絶対に解けない「カルマの根」があるから。彼にとっては、これが「絶対普遍」であって、もう論理とかのモンダイじゃない。

そういうものを「論理」で押しこめることはできない。いったんは押しこめられたように見えても、「根」が残っているかぎり、必ず別のところで噴出する……今の日本みたいに、国家のリーダーみずからがそういうものの噴出を許す(というかあおる)ようなムードを醸成している社会にあっては、カンタンに噴き出す。

国際的に「レイシズムはノー」。これは、一種の「普遍」だと思います。人類が、何世紀もの争いを経て掴むに至った「血みどろの普遍」。しかし、一方、「外国人お断り」の横断幕を掲げ、記者を射殺し、『アンネの日記』を破壊し、ヘイトスピーチをくりかえす……これは「普遍」じゃないのか……

難しいところですが、一方を「普遍」であり、他方を「矯正さるべき誤った傾向性」であるとしてしまいますと、それはなんの解決にもならない。カルマの根……こういう、オソロシイ凶暴性を噴出させる宿痾の、ガチガチに凝った真っ黒なカタマリ……そういうモノたちの「普遍」つまり「根っこ」はどこにあるのか……

それは、オソロシイことに、私たち一人一人の心の中にある……これはもう、否定のしようのない事実だ……そういう「曲(まが)事」を、自分は「普遍」の側に立って糾弾する……その、私は客観的に見ますよ……といういかにも超越者然とした態度……それが、銃弾を呼び、破壊と殺戮につながる……そうかもしれない……

なぜ、禍々しいものが、この世に存在できるのか……彼らは、それらが育つにふさわしい土壌(たとえば今の日本)を得ると、あれよあれよという間に急速にでかくなる……私は、戦前の日本を知りませんが、大東亜共栄圏みたいな風変わりな「思想」が、少なくとも「普遍」として歓迎されていた……その空気……

人の心は、今は「外国人お断り」を「普遍違反ですね」として糾弾するけれども、もう少し空気が変わればあっという間にそっちを「普遍」としておしいただき、ソレに反意をもとうものなら、「普遍の意志」として、反対する人々を抹殺する……コロッとそっちに変わる。「カルマの根」は再生して、自らを開花させる……

こういう「根」を断つことが、絶対に必要だと思います。で、それは、今の日本人が唱える「人種差別?よくないねえ」みたいな、あえて言うなら内容のない空疎な言葉ではできない。根に、届かない……レイシズムがダメなことは、みんなアタマではわかっていても、ちょっと心の奥に入られると……コワいことですが。

ホンモノの「フヘンの人」は違うかもしれません。しかし……私もそうですが、大多数の「フツーの人」は、そこまでいってない。それは大事だと思っていても、徹底できないので、社会の空気が変わればコロッと参ってしまう……今の日本、国のリーダー自身が盛んにあおっていることもあって、まさにその変わり目にいると思います。

「無観客試合」の決定は、やっぱり大きかった。けれど、それで「根」が断てたわけではない。横断幕を掲げた方々は、絶対納得していない(し、されてたまるか)。潜伏して、またチャンスを待つ……タチの悪いカルマの根ですが、もともとカルマの根というのはそこまでタチの悪いもの……ヤバいモンが、押えられてブスブスいってる……

これから先、日本は、どうなるんだろうか……根を断つどころか、それをあおって火事をどんどん大きくしていくような政治……結局、根が芽になり、伸びて育って大樹になって「悪の華」が満天に開き、「毒の実」がざくざく成る……あるいは、そうなる前に、別の「宿業」とぶつかって滅ぼされるのか……

出るものは全部出る。徹底的に……それが、もしかしたら唯一の「正解」かもしれません。オソロシイことですが……