Mwa ha ha ha……You are a stupid fellow, aren’t you?
欧州車はクリーンディゼル、日本車はハイブリッド……なんか、そんなイメージがありましたが……まあ、日本車といっても主体はトヨタなんですけど、フォルクスワーゲンが勇み足で自滅したので、これからの流れはハイブリッドに……そんな理解でいいのでしょうか……そう思って、ちょっと調べてみると、うーん……コトはそうカンタンでもないみたいです。
要するに、これからのクルマ、未来を征するエンジンはなにか? ということですが……まあ、電気自動車や燃料電池車なんかはエンジンじゃなくてモーターだから、これからのクルマの駆動機関はなにか? といった方がいいのかもしれませんが、候補はだいたい、次のようになっているのかな?
★ガソリンエンジン(レシプロかロータリーか)
★ディーゼルエンジン(クリーンディーゼル)
★ハイブリッド(ガソリンエンジンとバッテリーとモーター)
★電気自動車(バッテリーとモーター)
★燃料電池車(燃料電池とモーター)
ガソリンエンジンは、ロータリーがマツダの限定車種だけなので、ほぼレシプロ一色といってもいいのでしょう。今はこれが、やはりいちばん多いけれど、ディーゼル(クリーンディーゼル)とハイブリッドが徐々にそのシェアを侵しつつある……というところでしょうか。電気自動車はバッテリーの問題があるし、燃料電池車はインフラ整備が追いつかないのでまだまだですね。
未来になにが「勝つ」か……これは、技術の問題だけでは片がつかないのがやっかいなところ。各国の規制や消費者の好みや資源や地球環境の問題や……政治がらみ、経済がらみでこんぐらかった糸が縦横無尽に……まあ、車輪を回転させるという点からすると、モーターで駆動する電気自動車と燃料電池車が、クルマとしてはもっとも「正直」な構造なんでしょうが……
ガソリンエンジンやディーゼルなど、内燃機関は、車輪の回転数の制御を直接エンジン出力で行わずに変速ギアをかませるので、構造も複雑になるし、エネルギーロスもある。この点からするとモーターと車輪を直結できる電気自動車と燃料電池車は有利。ただ、高速域での加速にかなりのエネルギーを必要とするそうですから、やっぱり変速機は必要という意見もあるようですが。
それと、電気自動車の最大の困難がバッテリーの問題。これは、航続距離に直結する。つまり、航続距離を長くしたければ、でかいバッテリーを積まなきゃならない。燃料電池車では、これが水素ボンベになるわけですが……この問題は、まだ根本的に解決されていないみたいですね。それと、電気自動車は感電、燃料電池車は水素ボンベの爆発の危険はないのかな?
電気自動車の高圧バッテリーは、通常の状態では何重にもガードされているから感電の危険はないようですが、問題は衝突したとき。今は、まだ台数が少ないから現実化はしていないようですが、レスキューでは耐電服(7000Vに耐えられる)や耐電仕様のグローブ、長靴を用意しており、訓練でも漏電チェックなどで、ガソリン車やディーゼル車に比べると時間がかなりかかるということです。
燃料電池車の水素ボンベの爆発の危険もやっぱりあるみたいですね。なにしろ、水素を350気圧(場合によっては700気圧)という高圧で封入しているので、事故が起こったら大爆発という危険性も……これはもう、ガソリン車の炎上の危険性なんかとは比べものにならないでしょう。それと、燃料電池車は、排気管から出るのは水だけという「究極のエコカー」がウリなんですが……
実は、燃やすための水素をなにからつくるかといえば、現在は石油や天然ガス、石炭という化石燃料を改質してつくるのが主流だそうで、その過程でやっぱりCO2も排出される。つまり「見せかけエコ」ということで、まあ、一種のサギに近い。かといって、水を電気分解してつくる方法では、じゃあその「電気」はどっから得るんですか?ということで、結局石油や原子力……
トヨタは「水素社会」といって、いかにも燃料電池車が「エコ」みたいな言い方をしてるけど、実質は化石燃料や原子力頼み……「どこがエコなの?」といいたくなります。ということで、電気自動車も燃料電池車も、フレコミほど「未来を開く」力は持ってない。ということになりますと、やっぱりガソリンエンジンと電気のハイブリッドか、あるいはクリーンディーゼル……
ハイブリッドの方は、ガソリン車と電気自動車のいいとこどりで、現在のところけっこう伸びてますね。一口にハイブリッドといっても、ガソリン車の減速時のエネルギーで発電機を回す12V、今主流の100V、そして両者の中間の48Vと、いろんなタイプがあるみたいですが、12Vだと電装品への電力供給くらいにしか使えないので、ホントの意味のハイブリッドは48Vか100Vなんでしょう。
でも、やっぱり怖いのは感電ですね。ハイブリッド車の事故に対しては、レスキューは感電防止手袋をつけるようです。それと、どうしても電池のサイズは問題で、結局今のハイブリッドは、主体はやっぱりガソリンエンジンなんでしょうね。コンセントで充電できるプラグインハイブリッドもできてきてますが、これは電池サイズが大きくなるので、うまく普及するのだろうか??
ディーゼルエンジンの排気部分に触媒フィルターを使ってNOXなどを除去するクリーンディーゼルは、触媒に貴金属を使うことから、できるだけフィルターの寿命を伸ばしたいということで、NOXの規制の厳しいアメリカで、フォルクスワーゲンがあのような事態に……これはもう、一種の確信犯というべきか……要するに「あんたとこの規制基準、厳しすぎるぜ」といってる。
でも、おおっぴらに言えないので、ソフトであんな工作を……例えは悪いけれど、日本では今、20才にならないと酒もタバコもダメで、「コンパで酒も飲めんじゃん!」というのと同じ感じというと怒られるかもしれませんが……フィルターでNOXを取る方式よりも、エンジン自体をNOXの排出が少ない構造にするマツダみたいなやり方が、結局はいいのかもしれませんが……
ただ、私が思うには、ガソリンエンジン、それもレシプロエンジンは、そんなに急になくなることはないんじゃないかと……いろんな点から考えて、よくできた駆動装置だと思います。磨きがかかってるというのか……モノそのものは19世紀ベースですが、人類の19世紀のいろんな課題がまだまったく片づいていないのと同様、レシプロガソリンエンジンもなかなか次にその王座を譲らない。
電気自動車のように感電の危険のあるでかいバッテリーも必要ないし、燃料電池車のように爆発の可能性のある水素ボンベも要らない。点火プラグで点火するので、ディーゼルのように高圧縮も必要ない。考えてみれば、いろんな駆動方式の中で、いちばん「おだやかな」仕組みではないだろうか……システム全体に、あんまりムリを強いていないというか、ソフトでフレキシブルにつくってある。
ということで、「未来のクルマ」はやっぱりガソリン車?ということに?? じゃあ、もうちょっと堀り下げて、もっと根本的なところから問題を考えてみたらどうだろう……要するに、「なぜ、クルマが必要か」ということなんですが、これは結局、人間が、今のサイズの肉体を持っているから……そういうことになるのではないでしょうか。このサイズの肉体が移動する、そのために必要。
貨物にしてもそうです。このサイズの人間の肉体を維持するためのさまざまなもの、食料品、衣料品、そして家をつくるための建設資材……さらには、ガソリンや灯油などの燃料運搬、さまざまな機械類の運搬……ありとあらゆることにクルマは使われますが、そのすべてが、今のサイズの「人間の肉体」を維持することに奉仕しているといってもいい。精神的な快楽も、「人の脳」あってこそ。
クルマを公理のように前提にする社会は、ここが基準になってる。トヨタの「水素社会」は、要するに「水」のかたちで「無尽蔵」にある水素を、なにかうまい方法で取り出せば「化石燃料問題」は解決じゃないの?と言ってるような気もするけど、それって、「放射性廃棄物の処理は、未来の科学が解決する」といってここまで走ってきたコケた原発問題と、どっか良く似ているような……
原子力も、1960年当時はすごかったですよね。これこそが「未来のエネルギーだ」とかいって……原水爆はみんな反対していたけれど、原発は「原子力の平和利用だ」といって、反対する人はダレもいませんでした。「放射性廃棄物?ンなもん、未来の科学者がなんとかしてくれるさ」ということで、原子力平和利用に反対するものは、それこそヒコクミン扱い。資源の乏しい日本で、ナニをいうか!と。
ということで、「絶対白」だった原子力も、セラフィールド(英)、スリーマイル(米)、チェルノブイリ(露)、福島(日)と、重大事故がくりかえされるたびに黒ずんできて、今ではもう真っ黒。しかも、後にいくほど事故の規模がデカくなってるところがコワい。次の重大事故がどこで起こるのかはわかりませんが、スケールアップの法則?からすると、想像を絶するものになるのかも……
科学技術の発展って、結局この道だと思います。最初は真っ白で、輝くばかりの「未来」を指し示していても、スケールが大きくなるにしたがって黒くなる。つまり、それだけ人間の生活全般に浸透して、「それなしではいられない」状況になってしまったときに、ようやくその「本質」が明らかになる。そして、そうなったときにはもう時すでに遅し……ソレに頼りきった人類は、もう引き返せない。
クルマの問題も、結局「人間の肉体の問題」が解決されない限り、どこまで行っても解決に至らず、その都度、安価に安定供給されるエネルギー源をむさぼり尽くして次はなにか……と虎視眈々と狙う「欲の目」に左右されて、むなしく資源を食い尽くし環境を汚染することになる……重厚長大な「人間の肉体の問題」。これこそが、本当に「解決されなければならない問題」ではないだろうか……